こんにちは。
前回の記事に引き続き、P&Gシリコーンエラストマー特許に関する疑問点と、管理人様の回答を踏まえて学び・反省点と今後の対策をまとめてみます。

質問2
(公開訳)本発明では、エマルジョンタイプのシリコーンエラストマー含有化粧品の内相に着色剤物質を含有させると、
滑らかな仕上がりのみならず、製品適用部位に、断続的ながらも均一な外観を提供することができることがわかっている。
Applicants have found that
the inclusion of colorant materials in the internal phase of a silicone elastomer-containng emulsion-type cosmetic
allows for
not only smooth application but a discontinuous although even appearing product coverage.
疑問点
smooth applicationは「滑らかな仕上がり」と訳されていますが、「塗りやすい」ではないのでしょうか? (application→塗ること)
回答
・silicone elastomer-containng emulsion-type cosmetic
→「エマルジョンタイプのシリコーンエラストマー含有化粧品」では係りが不正確。
正しくは「シリコーンエラストマー含有のエマルジョンタイプ化粧品」
・smooth application→「スムーズな塗布」が適切
「滑らかな仕上がり」は不適切だが、「塗りやすい」も「スムーズに塗れる」を過不足なく伝えているとはいえない
・"apply"の分野、状況ごとの表現を知子にストックする(チャンク、フレーズ)
これで終わらせずに、applyつながりで特許を読む(「塗布 レジスト 半導体」などで検索)
質問3
(公開訳)
「スキンケア製品」と見なされる製品としては、
絆創膏、
包帯、
歯磨き粉、
無水閉塞性保湿剤、
制汗剤、
防臭剤、
身体洗浄製品、
粉末洗濯洗剤、
柔軟仕上げタオル、
閉塞性薬物送達パッチ、
マニキュア液、
パウダー、
ティッシュ、
拭取り布、
無水ヘアコンディショナー、
シェイビングクリーム などが挙げられるが、これらに限定されない。
Products contemplated by the phrase "skin care products" include, but are not limited to,
adhesives, bandages, toothpaste, anhydrous occlusive moisturizers, antiperspirants, deodorants, personal cleansing products, powder laundry detergent, fabric softener towels, occlusive drug delivery patches, nail polish, powders, tissues, wipes, hair conditioners-anhydrous, shaving creams and the like.
疑問点
「柔軟仕上げタオル(fabric softener towels)」について
fabric softener towelsで検索すると、use fabric softener on towelsなどの用例が多かったです。
onかfor抜け(「柔軟剤」)なのかな?と思いますが、こういう細かいところもコメントすべきでしょうか?
回答
・「柔軟仕上げタオル」は別におかしくないので、公開訳のままでOK
・「柔軟剤」だとスキンケア製品(肌に直接影響を及ぼす)とはいえない
質問4
(公開訳)
更に、成分(A)の各分子におけるアルケニル基の合計数と成分(B)の各分子におけるケイ素結合した水素原子は少なくとも5つあるべきである。
Furthermore,
the sum of
the number of alkenyl groups in each molecule of component (A)
and
the number of silicon-bonded hydrogen atoms in each molecule of component (B)is to be at least 5.
疑問点
the sum of…は「アルケニル基の合計数」ではなく「アルケニル基と水素原子の合計数」ではないでしょうか?
(A)のアルケニル基、(B)の水素原子数については上に「各分子中に少なくとも2つの…」と指定があり、
片方が3つあれば網目構造(両端+その間で架橋)になるため。
回答
・指摘の通り。
内容で考えなくても、文法的に公開訳は明らかに間違っている。
反省点と対策
・「逆翻訳できるか」をセルフチェックの基準とする
smooth application→塗りやすい など、意味を理解していても意訳になっている部分に気付くため、和訳したものをもとにもう一度英訳して同じ表現になるかを確認し、「この訳文でいい」と判断する一つの基準にします。
・google検索で出てこないからといってそれが間違いとは限らない
実は対訳学習一本目でやった3Mの粘着剤組成物特許でも、"rolling wheel tack tester"というのが出てきたときにgoogle検索したらことごとく"rolling ball tack tester"ばかり出てきたので、wheel→ballの間違いでは?と思って訳していたのですが、ビデオセミナーでは普通にwheelで進めていました。
google検索で出てこないからといって、それが存在しないわけではない。極端に言えばその研究室だけで使われている道具ということもありえます。googleを根拠に真偽を疑うのは控え、「素直に読む」を肝に銘じます。
・どんどん質問すべし
こんな質問していいのかな?とか考えてしまうんですが、自分の実力ではその疑問が重要なのかそうじゃないのかも判断できないですし、質問自体がしょうもなくてもそれをネタに勉強を広げることはいくらでもできるということがわかりました(applyつながりで用例・特許を調べるなど)。
まとめ
引き続き、適宜振り返りながら対訳学習を進めていきます。
P&G特許の残り部分に関する疑問点、それに並行して読んでいた電位センサ特許の数式部分で理解できないところがあったので、もう少し考えてわからなければそれも質問させていただこうと思います。
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