特許翻訳の見直し・校正スキーム

学習記録

自力翻訳の現実

こんにちは。
対訳シリーズのNUTRASWEET社特許(WO9959951A1)を自力翻訳完了し、講座ビデオの視聴を進めています。

こちらの特許は約3300wordsと短めで、初の自力翻訳にはほどよいボリュームでした。
プロに求められる処理量は一日2000wordsが目安とのことなので、2日で納品も可能な案件なのですね。
一日8時間として、二日で16時間、甘めにとって20時間での処理完了を目標に作業をしたところ、実際には約23時間かかりました(一番勉強してきた化学系案件にもかかわらず、です)。
これは141words/1時間(1128words/8時間)というスピードなので、わかっちゃいたけどかなり厳しい数字ですね…。

反省と対策

一番の反省点としては、訳出(仮訳)自体を焦って進めてしまい、その結果見直しにものすごく時間がかかってしまったことです(予習~仮訳終了まで約13時間、見直し約10時間)。

これは、見直し時点でも技術内容や表現を検索して確認する部分が多々あったためで、その結果かなりの修正(誤訳含む)をすることになりました。

「見直しは文章が流れるかチェックするだけ」とビデオで管理人様がおっしゃっていたように、内容理解及び翻訳は最初の訳出時点でほぼ完成させておく必要があるのに、今回は最初の時点で「とにかくまずは形にする」ことを優先してしまいました。

次は最初の訳出時点でもう少し余裕をもって確認し、「これでほぼ確定」といえる訳を作るようにします。

また、見直し作業自体も初めてだったため、見直しってどうすればいいんだっけ?というところから始まり、講座テキスト、Trados OJTコース(kokodoki company)のマニュアル、知子の情報、そしてネット情報を参考にしながら、Trados機能や各種マクロを活用して進めました。

見直しは、
①バイリンガルファイルを印刷して見直し→修正をTrados入力・マクロへ組み込み
②ワードによる校正
③秀丸マクロによる置換
④ワードで再度校正
⑤印刷して再度見直し

という手順で行いました。

①バイリンガルファイルを印刷して見直し→修正をTrados入力・マクロへ組み込み
最初、紙での見直しとTrados・マクロへの入力を同時並行でやろうとしたのですが、紙とブラウザを行き来するためか集中力が続かず、やたらと時間がかかってしまいました。途中から紙で最後まで見直してからまとめて入力するようにしたらスムーズにいきました。
バイリンガルファイルを編集後Tradosへインポートすることもできるようなのですが、どちらにしろ紙チェック後にPCへ入力するのであれば、わざわざバイリンガルファイルを経由しなくとも直接Tradosに入力すればいいか、と今回はインポート機能は使いませんでした。
しかし上記⑤時点で見つかった用語の揺らぎをとるのに、ワード上の用語を一発で置換できるシェアウェアを使ってみたらものすごく便利だったので、①のバイリンガルファイル時点で用語置換してからインポートし、②へ進むというのもありかなと思いました。次回はその手順で試してみます。

②ワードによる校正
ワードについている校正機能です。てにおはの間違いや、揺らぎの一部を拾ってくれますが、「言葉としておかしくない訳語の揺らぎ」は当然ですがスルーされますので、あくまで補助的な校正です。

③秀丸マクロによる置換
講座テキストに記載されているエクセルで作成する秀丸マクロの実行と、英文を消す作業などです。

ものすごく効率よくできて気持ちがいい!のですが、マクロを一部ミスっていて置換後に変なところにスペースが入ってしまう、正規表現がうまくヒットしないなど地味につまづきました(マクロ修正し対応はメモしておきました)。

正規表現は、最初はただ言われたとおりに入力して使っていただけでしたが、少しずつ意味を理解し、多少はアレンジして使えるようになってきました。

正規表現を使えると、作業中のちょっとした調整や効率化がすばやくできて便利ですね。まだまだですので今後も勉強していきます。

④ワードで再度校正
②と同じ、今回はヒットなしでした。

⑤ワードを印刷して再度見直し
読み飛ばしのないように、紙にものさしを置きながら一行ずつチェックしました(この時点で気づいた用語の揺らぎもありました)。

一応、自分が翻訳したものではなく「日本語の明細書」として読んだつもりです。
明細書を多数読んでおくと、ここで違和感に気付く確率が上がるんだなと思いました。
(紙ベースでの見直しを①と⑤の二回しているのですが、できれば一回で終わらせたいところですね…バイリンガルファイルのチェックはブラウザ上でもいいかもしれません)

まとめ

今回初めて明細書全体を自力翻訳~見直し(完成)まで通してやりました。

見直し作業まで終わらせるということは、当然ですが自分の訳文に「最終成果物」としての責任を持つということです。
これに意外とビビッてしまい、つい必要以上に慎重になってしまいました。

作業効率はまだまだ改善の余地がありそうです。今後も色々とやり方を試しながら、スキームを確立していきたいと思います。

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