こんにちは。
酸・塩基は中学でも出てくる化学の基本ですが、意外と「これって酸と塩基どっち?」と混乱することがあります。
酸と塩基の定義のうち最も汎用性が高い(その分わかりづらい)ルイス酸についてまとめました。
ルイス酸・ルイス塩基とは
ルイス酸・ルイス塩基の定義は以下のものでした。
- ルイス酸:電子対の受容体
- ルイス塩基:電子対の供与体
代表的なルイス酸には三フッ化ホウ素(BF3)、塩化アルミニウム(AlCl3)があります。
でもこれらが電子を受け取るのか与えるのかわかりづらいですよね。
なぜBF3やAlCl3はルイス酸だといえるのか?
それは混成軌道から構造を考えることでよく理解できます。
BF3を例に詳しく見ていきます。
ルイス酸を混成軌道から考える
三フッ化ホウ素BF3の混成軌道
BF3のフッ素Fとホウ素Bはすべてsp2混成しています。

このとき、Bのsp2混成軌道に1つずつ電子が入ってFとの共有結合に使われますが、2p軌道は電子のない空軌道になります。
このためBはFと結合しても電子が2つ足りない(2p軌道を埋めたい)状態です。
電子対が欲しい=電子を受容する=ルイス酸 になるのですね。

実際には、BF3ではFのp軌道の非共有電子対をBの空のp軌道配位させているようです。しかしBF3がルイス塩基と即座に反応することから、完全に配位しているのではなく一部借りている(けどまだ電子は足りない)ような状態と考えられます。
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空軌道のギモン
空軌道とは文字通り「電子が入っていない空っぽの軌道」のことなのですが、これってちょっと疑問に思いませんか?
たとえば先ほどのBを例にすると2pは確かに空軌道。
でも「電子が入っていない」というならば4sも5dも6fも7pも全部空軌道ですよね。

空の軌道は無限にあるじゃないか。どこまでが問題になるのか?と。
しかしこれはシンプルに「オクテット則」を思い出すことで解決します。
オクテット則とは、原子の最外殻電子の数が8個あると化合物やイオンが安定に存在するというルールです。
さきほどのBで見ると、Fと共有結合をすることでsp2混成軌道は電子2つずつになり、電子が合計6つになりますが、p軌道が空軌道であることでオクテット則が満たされていません。
つまり「空いていて、かつ電子が入ってほしい」軌道があることが問題になるんですね。
ルイス酸BF3とルイス塩基NH3の反応
ルイス塩基は電子対の供与体なので、非共有電子対がある分子はすべてルイス塩基になる可能性を持ちます。
ルイス塩基の代表的なものにはアンモニアNH3があります。
ルイス酸BF3とルイス塩基NH3が反応するとどうなるかというと、
BF3はsp2混成でしたが、BF3-NH3はsp3混成になります。

σ結合で配位することで安定するのですね。
冒頭で見た通り、ルイス酸は電子対の受容体、ルイス塩基は電子対の供与体です。
配位結合は、片方の原子または分子(電子対の供与体)からもう一方の原子または分子(電子対の受容体)へ電子対が一方的に供給されてできる結合なので、
「配位結合はルイス酸とルイス塩基との結合である」といえます。
まとめ
・電子対が足りない原子のある化合物はルイス酸になりうる
・それは空軌道があることで理解できる
・配位結合はルイス酸とルイス塩基の結合である
ルイス酸がわかると、化学反応がスムーズに理解できますね。
二酸化硫黄の混成軌道について管理人様に質問したところ「そこまでいらないと思います」とのことだったので加減が難しいですが(汗)これからも必要に応じて混成軌道を確認していこうと思います。
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