イオン化エネルギーと元素の周期表・電子配置の関係についてまとめました。
イオン化エネルギーとは?
イオン化エネルギーは、原子またはイオンから電子を一つ取るために必要なエネルギー。
中性状態の原子から電子を一つ取る(一価の陽イオンになる)のに必要なイオン化エネルギーを第一イオン化エネルギーという。一価の陽イオンからさらに電子を一つ取るのに必要なイオン化エネルギーが第二イオン化エネルギー、さらに電子を一つ取るのに必要なのが第三イオン化エネルギー、と続く。

以下は「第一イオン化エネルギー」についてです
全体的な傾向
・原子が安定な状態にあると、電子を取られて不安定な状態になりたくないので、イオン化エネルギーが大きくなる。
・電子が内側に引っ張られる力(クーロン力)が強いほど、電子を取るのに大きなエネルギーが必要になるので、イオン化エネルギーが大きくなる。 -に帯電する電子を引っ張るのは+に帯電する陽子。したがって、陽子の数が増えるほど、また陽子(原子核)と電子の距離が近いほどクーロン力が強くなり、イオン化エネルギーは大きくなる。(原子の基本)
結果として、周期表の左から右(原子番号=陽子数が増える)に、下から上(原子核と電子の距離=原子の半径が小さくなる)に向かうほどイオン化エネルギーが大きくなる傾向があります。

それでは、第一イオン化エネルギーと周期表(電子配置)の関係を見ていきます。
第一イオン化エネルギーのグラフ

なぜこのような形になるのか、電子配置の特徴から見た理由(考察)をまとめました。 (電子配置・電子軌道のしくみについてはこちらのサイトがめっちゃわかりやすいです)
電子配置との関係
(電子配置の確認はこちらが便利です)
1族:H, Li, Naなど
最外殻に電子が一つだけある電子配置になっており、電子を一つ失って陽イオンになると閉殻状態で安定する。そのためイオン化しやすく、イオン化エネルギーが小さい。
2族:Be, Mgなど
最外殻のs軌道まで埋まるので少し安定し、イオン化エネルギーが少し大きくなる。
遷移元素
最外殻は(基本的に)埋まっているが内側が埋まっていないため少し不安定になり、イオン化エネルギーは小さめ。
12族:Zn, Cdなど
最外殻のs軌道と一つ内側の殻のs,p,d軌道が埋まるので安定し、イオン化エネルギーが大きくなる。
13族:B, Alなど
最外殻のp軌道に電子が一つある(最外殻がs軌道のみ埋まった状態になりたい)ので電子を失いやすく、イオン化エネルギーが少し小さくなる。
15族:N,Pなど
半閉殻(最外殻のp軌道に1つずつ電子が入った状態)で安定し、イオン化エネルギーが大きくなる。
16族:O,Sなど
電子を一つ失うと半閉殻になるのでイオン化エネルギーが少し小さくなる。
18族:He, Ne, Arなど
電子配置が閉殻(最外殻のs軌道・p軌道が埋まった状態)で非常に安定しているため、イオン化エネルギーが大きい。
(14族・17族は「全体的な傾向」の通りなので省略しました)
ノートまとめ


1族(極小)と18族(極大)をフレームに、中間の値を取る元素も周期律に従って上下することがわかりました。遷移元素間のエネルギー推移があいまいなので、疑問点としてメモしておきます。
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