【文系女子が教える化学】沸点上昇・凝固点降下・浸透圧の原理を○○の法則でスッキリ理解しよう

文系女子が教える化学

こんにちは。
化学で沸点上昇・凝固点降下や浸透圧を学習するとき、「そういう現象が起こるんだな」とただ覚えてしまう方がほとんどだと思います。
しかし、ある一つの法則を知っていると、「たしかにそうなるよね!」と感覚で理解することができます。それが「エントロピー増大の法則」です。

エントロピーは一見難しそうですが、ざっくり理解するだけならめっちゃ簡単です。
ぜひ読んで、高校化学の理解を深めてみてくださいね。

エントロピーとは?

エントロピーとは、簡単に言うと「乱雑さ」です。
このとき、「乱雑さ」≒「均一さ」と考えるとイメージしやすいです。
乱雑と均一って全然違うんじゃ?と思いますが、
部屋の状態で考えてみます。

「片付いた部屋(乱雑ではない)」を思い浮かべると、洋服はクローゼットに、本は本棚に、食器は食器棚に、ゴミはゴミ箱に収まっていますよね。
見方を変えると、「ものが存在している場所が偏っている」とも言えます。
これはエントロピーが小さい状態です。

一方、「散らかった部屋(乱雑)」を思い浮かべてみると、
洋服も本も食器もゴミもバラバラに散らばっていますね。
これは「ものが均一に混ざり合って存在している」と言えます。
エントロピーが大きい状態です。

つまり、「エントロピーが大きくなる」とは、「乱雑な状態になる」≒偏りを解消し、均一に混ざり合う方向に進むということです。

一般に「自然な状態ではエントロピー(乱雑さ・均一さ)が増す方向に変化が進む」という法則があります(エントロピー増大の法則)。
エントロピーが大きいほうが安定な状態なのです。

つきつめればエントロピーはもっとだいぶ複雑です。熱力学のエントロピー増大則についてわかりやすい動画がありましたので興味のある方はどうぞ!

エントロピーをざっくりイメージできましたか? ではこの法則を使って、沸点上昇・凝固点降下・浸透圧について考えてみます。

沸点上昇・凝固点降下

液体状態にある物質に不揮発性の溶質を加えると、純粋な溶媒よりも溶液のほうが沸点が高く、凝固点が低くなります。
たとえば水に食塩を溶かすと、ただの水よりも食塩水の方が蒸発しにくく、かつ凍りにくくなります。

この理由について、高校化学では「純溶媒の状態変化が不揮発性溶質によって阻害されるため」と学習します。

これをエントロピーで考えると、
「純溶媒(水)」よりも「溶液(食塩水)」のほうが、分子が混ざり合っているのでエントロピーが大きいですよね。
つまり純溶媒よりも溶液のほうが液体状態が安定しています。
安定な状態なので、「もう少しこのままでいようかな」という感じになります。
この結果、溶液は純溶媒が状態変化する条件でも液体でいられるようになるのです。

沸点上昇により水が蒸発する温度でも液体でいられる
凝固点降下により水が凍る温度でも液体でいられる、と
どちらも液体でいられる範囲が広がっていますよね。

状態図で表すと以下のようになります。

http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~hiroakio/2008/08ko-100.html

液体の範囲が広がっていることがよくわかりますね!

沸点上昇・凝固点降下はエントロピーが大きくなった結果起こる現象でもあるのでした。

浸透圧

出典:https://www.shiojigyo.com/siohyakka/about/data/permeation.html

半透膜を挟んで純溶媒と溶液(たとえば水と塩水)がある時、
純溶媒から溶液へ溶媒が浸透するが、溶液側に圧を加えると浸透が阻止される。
(半透膜:溶媒を通し溶質を通さない大きさの孔をもつ膜)

浸透圧とは、このときの浸透してこようとする圧力=浸透を押さえ込むために必要な圧力を指します。

このとき、そもそもなぜ水が塩水の方へ浸透するのか?を考えると、
水と塩水の濃度差があるということは「ものが存在している場所が偏っている」つまりエントロピーが小さい状態であると言えます。
エントロピーを大きくするため、二種類の液体は均一になるようにそれぞれ移動しようとします。 みんなで仲良く混ざりたいわけです。
しかし、半透膜は水しか通さない(溶質は大きくて通れない)ので、
水だけが塩水の方へ移動するのです。

浸透とはエントロピーを大きくする現象でもあったのでした。

まとめ

・沸点上昇・凝固点降下は液体のエントロピーが大きくなったことによる現象
・浸透はエントロピーを大きくしている現象

エントロピーは化学で学習する概念ではありませんが、少し知っておくと感覚的に現象を理解する助けになりますね。

ちなみに、京大農学部出身である作家の森見登見彦さんの小説 には、エントロピーや熱力学第二法則(エントロピー増大則)がちょこちょこ登場します。

特に「太陽の塔」はエントロピー高めでおすすめです。よかったら息抜きに読んでみてください!(※勉強にはなりません)

コメント

タイトルとURLをコピーしました